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Sapporo Conference for Palliative and Supportive Care in Cancer 2014 がん緩和ケアに関する国際会議 2014.7.10 fri - 11 sat 主催/医療法人 東札幌病院

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ごあいさつ

第5回 Sapporo Conference for Palliative and Supportive Care in Cancer 開催にあたって

新しい時代を迎えようとしているがん緩和ケア


「がん緩和ケアのオリンピック」とも称される Sapporo Conference for Palliative and Supportive Care in Cancer(SCPSC) は、2026年7月に第5回の開催を迎えます。

現代医学は、治癒と生命予後の改善を目標として目覚ましい進歩を遂げてきました。一方で、医療は常に一つの根源的な事実に向き合っています。それは、人間は必ず死に至る存在であるという現実です。がん緩和ケアは、この普遍的な条件のもとで、人間をどのように理解し、どのように支えることができるのかを問い続ける医療領域です。

私はこれまで、医学は科学であり、医療は文化であると述べてきました。医学は普遍性と再現性を追求する科学として発展してきました。一方、医療は、人々の価値観、社会構造、宗教、歴史、家族関係など、多様な文化的背景の中で実践されます。また医学そのものも、生物学のみならず、心理学、社会学、倫理学といった領域によって支えられる、人間理解のための統合的学問であると考えています。

がん緩和ケアは、こうした科学としての医学と、文化としての医療を統合的に捉えようとする学問領域です。科学的根拠に基づく医療は不可欠である一方、人間の苦痛、人生の意味、他者との関係性、そしてスピリチュアリティといった、数値だけでは捉えきれない側面が医療の中心に据えられます。その意味において、緩和ケアは医学の一分野にとどまらず、人間の有限性という前提から医療の本質を問い直す領域であり、医療の哲学的基盤を映し出す存在でもあります。

近年、緩和ケアの研究と実践は大きな転換期を迎えています。一つは、特定の疾患に焦点を当て、高度な科学的専門性を追求する緩和ケアの発展です。もう一つは、国や地域の医療体制、社会的背景、あるいは医療機関の理念に基づき、疾患を限定せず、あらゆる病に伴う苦痛に寄り添う包括的緩和ケアの実践です。これら二つの方向性は対立するものではなく、相互に補完しながら、世界の緩和ケアの発展に寄与していくものと考えています。

第5回SCPSCの学術プログラムは、この歴史的転換を踏まえて構成されています。palliative oncology や psychosocial-oncology の最前線を紹介するとともに、スピリチュアリティを比較文化的視点から検討する教育セッション、さらに医学・歴史・倫理の関係を再考する特別講演を企画しています。これらは、科学的探究と文化的理解の統合を目指すSCPSCの理念を象徴するものです。

SCPSCが開催される札幌は、単なる開催地ではありません。この地には、19世紀に創設された札幌農学校に端を発する学問的伝統があります。この伝統は、学問を単なる専門技術ではなく、人格と良心に根ざした実践として捉える思想を育んできました。この精神は、人間の生と死を総合的に理解しようとする緩和ケアの理念と深く響き合っています。

SCPSCは、世界の第一線で活躍する研究者や臨床家が、競争ではなく対話と共創を通じて議論を深める国際会議です。ここで生まれる議論が、がん医療のみならず、これからの医療のあり方、さらにはヘルスケア全体の未来に新たな視点をもたらすことを願っています。

がん緩和ケアに関わる皆様はもとより、重篤な疾患を抱える人々のケアに携わる多くの医療・福祉関係者の皆様のご参加を、心よりお待ちしております。



石谷 邦彦
The International Research Society of the SCPSC 理事長
医療法人東札幌病院 理事長
2026年2月12日


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